
当社がツーバイフォー工法を取り入れているのには大きな理由があります。家はまず命を守れるものでなければならないと考えています。また、当社では省令準耐火仕様を採用しており、火災にも強い構造となっております。
家づくりの建築工法として一般的に用いられているのが、「軸組工法」と呼ばれる「柱」や「梁」で建物を支える工法です。これに対して、ツーバイフォー工法とは構造用製材によってつくられた枠組みに、構造用合板を貼り付け、床・壁・屋根の六面体の箱形のものを構成し建物を支えるもの。軸ではなく面で支えるため、シンプルなのに安定感もあり、気密性や断熱性も高くなります。家全体が一体構造(モノコック構造)となるので、荷重が分散されるため地震や台風などの災害にも強い家となります。
ポイントモノコック構造はもともと、極限の強度が求められる航空機用に開発されたもの。スペースシャトル、新幹線、F1レーシングカーにも採用されるほど、極めて強固な構造です。
智建ホームでは、地震や台風からの外力を受ける壁面に、「転び止め(補強材)」を入れています。
手間はかかりますが、①外部に面する壁と②内壁の間仕切壁、全てに入れることで更に強固な構造になります。
▲「転び止め」、縦枠の間に横に木材を追加して、構造を強化。
品確法の住宅性能表示制度により、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す等級が「耐震等級」です。最低基準の「耐震等級1」で建築は可能です。ただし、ツーバイフォー工法では、「耐震等級2、3」の性能を満たした建物の建築が可能です。
■等級1⇒建築基準法レベルの建物の強さ(数百年に一度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊しない程度。)
■等級2⇒建築基準法1.25倍の建物の強さ(数百年に一度程度発生する地震力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度。)
■等級3⇒建築基準法1.50倍の建物の強さ(数百年に一度程度発生する地震力の1.50倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度。)
熊本地震は震度7が2度発生しました。その前震・本震以降も、震度5以上の余震が多発し、建物は強い揺れを何度も受けましたが、ツーバイフォー住宅は「被害なし」及び「多少の被害」の住宅が97%以上を占めました。
熊本地震の調査結果
被害発生理由 | |||||
被害程度 | 強震変形 | 地盤崩壊 | 液状化 | その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
全壊 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 0棟 |
半壊 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 0棟 |
一部損壊 | 46棟 | 15棟 | 15棟 | 3棟 | 79棟 |
被害なし及び 多少の被害 |
2,861棟 | ||||
合計 | 2,940棟 |
東日本大震災では津波による被害を除けば、当面補修をせずとも居住に支障のない住宅が「98%」を占めました。同災害では津波による被害が甚大でしたが、津波に耐えたツーバイフォー住宅も存在していいます。漂流物で損傷している部分もリフォームを行い、現在も使用されています。
東日本大震災の調査結果
被害発生理由(津波を除く) | ||||||
被害程度 | 強震変形 | 地盤崩壊 | 液状化 | 類焼地 | 合計 | 津波被害 |
---|---|---|---|---|---|---|
全壊 | 0棟 | 6棟 | 0棟 | 1棟 | 7棟 | 105棟 |
半壊 | 2棟 | 33棟 | 34棟 | 0棟 | 69棟 | 128棟 |
一部損壊 | 319棟 | 61棟 | 16棟 | 17棟 | 413棟 | 410棟 |
計 | 321棟 | 100棟 | 50棟 | 17棟 | 489棟 | 643棟 |
多少の被害有及び被害無 | 19,633棟 | 7棟 | ||||
小計 | 20,122棟 | 650棟 | ||||
合計 | 20,772棟 |
(一般社団法人日本ツーバイフォー協会調べ)
阪神・淡路大震災と新潟中越地震2つの大地震では液状化、隣家のもたれかかりを除いた、本来の地震による被害は「97%が被害なし」の報告が出ています。
阪神・淡路大震災及び新潟中越地震の調査結果
被害発生理由 | |||||
被害程度 | 地震の揺れにより | 隣家のもたれかかりにより | 地盤の移動・液状化により | その他 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
全壊 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 0棟 |
半壊 | 0棟 | 0棟 | 2棟 | 0棟 | 2棟 |
類焼 | - | - | - | 8棟 | 8棟 |
多少の工事が必要 | 3棟 | 21棟 | 158棟 | 101棟 | 283棟 |
当面、補修なしでも居住に支障ない | 198棟 | 35棟 | 185棟 | 2215棟 | 2633棟 |
小計 | 201棟 | 56棟 | 345棟 | 2324棟 | 2926棟 |
被害なし | 6747棟 | ||||
合計 | 9673棟 |
(一般社団法人日本ツーバイフォー協会調べ)
大正元年(1912年)貿易商の木下建平の別荘として建てられ、日本国内に現存するツーバイフォー住宅の中では最も古いものです。大正12年(1923年)関東大震災にも耐え、倒壊を免れています。現在、神奈川県大磯町の所有で、レストランとして活用事業が行われており、平成24年(2012年)2月には国登録有形文化財に登録されています。
ツーバイフォー住宅では、床や壁の枠組材、石こうボードなどが火の通り道となる部分の空気の流れを遮断。そのため、上階や隣室へ炎が燃え広がるのをストップします。床根太や枠組材など、一定間隔で組まれている独自の工法は、家全体に防火区域が何重にも作られているのと同じ。火の進行を遅らせる働きがあり、火災時の被害を最小限に抑える役割を果たしています。
天井や壁の内側など、ツーバイフォー住宅は内側全面に、12.5mm以上の厚い石こうボードが貼られています。石こうボードの大きな特長は、炎があたると中に含まれる結晶水が熱分解を起こし、約20分間水蒸気を放出します。そのため、天井裏や壁の内部温度が上昇しにくく、火災が発生しても構造材が着火温度(約206℃)に達するまでの時間を遅らせることができるのです。
▲石こうボードで全ての壁をおおう
2010年から火災保険と地震保険の判定基準が統一され、「省令準耐火仕様」のツーバイフォー工法は、保険料が大幅に安くなっています。
近年では、日本でもみられるようになった「竜巻」。局地的な突風や竜巻の威力は一瞬で住宅を破壊してしまうものも。実はツーバイフォー工法は、強烈なハリケーンが発生する北米生まれなのです。だからこそ、強風に対しても耐えうる構造であり、屋根のあおりを止める金具でさらに屋根と壁を連結し、強風に負けないようになります。
構造用合板とは建物の構造耐力上、主要な部分に使用する合板のことで、数枚の板材を繊維方向が直交するように貼り合わせ強度を高めたもので、面構造のツーバイフォー住宅にとって最も重要な構造材のひとつに数えられます。
JAS規格とは日本農林規格で、農・林・水・畜産物およびその加工品の品質保証の規格です。建築用の木材の場合、サイズや強度含水率など厳しく定められています。ツーバイフォー工法で使用される製材のほとんどはこの基準にもとづいています。
ツーバイフォー工法では、わかりやすく規格化された構造用製材、構造用合板を使用します。それぞれの素材はJAS規格により厳しく定められています。
JAS規格 日本農林規格
クギ、使用方法にいたるまで、全てマニュアル化されています。だからこそ、建築に携わる人材によって左右されることなく、どの建物にも均一に高品質な技術を用いることができます。作業効率も良いため、工期の短縮やコスト削減など住宅の品質だけでなく、多くのメリットをもたらす工法とも言えます。
1本ずつカラーリングされた専用クギ
住宅にかかる揺れの力を、ツーバイフォー工法と軸組工法とで比較してみました。軸組工法では加えた力が、柱や接合部分に集中してしまい、建物自体に変形や倒壊の恐れがあります。比べてツーバイフォー工法では、構造用合板が面で揺れを吸収するので、力が分散され大きな揺れにも耐えることができています。
①床・壁・屋根で構成した面構造。
②柱を筋交いで支える軸による構造。